誤嚥性肺炎の予防

誤嚥性肺炎について

誤嚥性肺炎という言葉は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

肺炎にはいろいろな種類があります。
マイコプラズマ肺炎インフルエンザによる肺炎間質性肺炎や新型コロナウイルス感染症による肺炎など、肺炎と名前が付く疾患はたくさんあります。

肺炎の中でも、ワクチンで予防が可能なもの、あるいは薬剤により治療しやすいものもあります。 誤嚥性肺炎に関しては、ワクチンによる予防や原因は薬ですぐに治癒するというわけにいきません。 誤嚥性肺炎は高齢者の方によくみられますが、原因の一つには高齢者の身体の機能や環境に由来しており、高齢者と肺炎の原因を完全に分離させることが難しいのです。

誤嚥性肺炎を発症し、治療(発症してから入院治療までの一連)が、肺だけではなく、全身に大きなダメージを与えることもあります。 肺炎は治っても、入院したことにより体力が落ちてしまい、その結果、全身の状態(日常生活の動作)などは回復することなく落ちたままというような事態が発生しかねません。
「予防」こそが誤嚥性肺炎に対する最も効果的な対策の一つとなります。

肺炎とは

まず肺炎とは、肺でおこる炎症です。細菌やウイルスが肺に感染して起こる免疫反応になります。(肺炎自体は、感染が発生する場所や患者さんの状態によりいくつか種類はあります。)
炎症は「体内に侵入した異物に対して、人体の免疫機能が抵抗をしている状態」です。
なので肺炎は「肺に侵入した異物に対して、人体の免疫機能が抵抗をしている状態」を表します。 炎症の原因である細菌やウイルスは薬で退治することが可能です。

つまり、誤嚥性肺炎を発症したとしても、「どのような細菌か?適切な薬は何か?」を見定めれば治療は行えます。

誤嚥性肺炎とは

水や食べ物、胃食道逆流物、口の中の細菌やウイルスなどが誤嚥により肺に入り、それが肺に感染して肺炎を引き起こし肺炎化するということです。

中でも口の中の細菌やウイルスが原因となると、予防方法は
①肺で感染を起こさせないように、口の中の細菌を誤嚥させない。
②誤嚥をしてもその中に感染を引き起こすような細菌を入れさせない。
となります。

様々な細菌が多く棲み着く口腔内。 何が誤嚥性肺炎の原因となっているか? 特定の菌はあるのか?

その答えとしては、誤嚥性肺炎の原因となる明らかな「特定の菌」はいません。ただし歯周病菌も含めた多くの菌が関わっているとされています。
現状では口腔ケアにより歯周病菌を含む口腔内の細菌を全体的に減らすことにより、誤嚥性肺炎を予防することが基本とされています。

誤嚥性肺炎の兆候や発見方法

風邪と言われて薬をもらっても中々治らないです。その後、体調は悪化していき元気がなくなる。よく調べたら、誤嚥性肺炎だというケースもあります。

以下のような症状が出たら要注意です

  1. 激しくせき込む
  2. 高熱が出る
  3. 濃い痰が多くなった呼吸が苦しい

※高齢者の場合は表に出る症状が軽いのにも関わらず、肺炎が進行していることもしばしばあります。

一般的な症状は熱・咳・痰ですが、他にも注意すべき症状はあります。

  1. 元気がない
  2. 食後に疲れている
  3. ボーッとしていることが多い
  4. 失禁するようになった
  5. 口の中に食べ物を運んでも、ためて飲み込まない
  6. 元気がない

一見肺炎と無関係と思えるような症状でも、調べてみたら肺炎だったということがあります。変化に敏感でいることが大切になります。

誤嚥性肺炎、負のサイクル

誤嚥性肺炎による「肺炎」自体を治すことは可能であっても、誤嚥をおこしてしまう身体状況や環境を改善するのは容易ではありません。しかし、改善されないと、誤嚥性肺炎は繰り返されてしまいます。
肺炎により入院すると、

  1. 体力の低下が起こる
  2. 治療のため食事を摂取できなくなる
  3. 基本的にはベッドの上で寝たきりになるケースが見受けられる

そして体力が衰えてくると誤嚥性肺炎は発症しやすくなります。
高齢者の方は特に誤嚥性肺炎が繰り返されると、要介護状態になったり、致命的な事態に陥ったりしてしまいます。

摂食・嚥下のプロセス

誤嚥は「誤って嚥下する」という意味になります。
嚥下というのは「飲み込む」ということになるので。誤嚥は「(食べ物など)誤って飲み込む」といえます。
では、飲み込みを誤る・失敗するとはどういうことになるのか?
まずは正常な飲み込みとは何か?から順を追って説明します。

①②摂食

  • ①先行期
    食べ物を認知する段階。見る、嗅ぐなどをすることにより、まずそれが食べ物かどうか、どのような食べ物か、どのようにして食べるのかを判断します。
  • ②準備期
    先行期を経て、「それがどのようなものであるか」がわかったら、その物に応じて口の中で飲み込むための準備期間となる。
    口の中に入ってきた食べ物を舌で受け止めたあと、前歯で適当な大きさに噛み切る。その後、軟らかくするために奥歯で噛みます。食べ物が喉を通りやすい状態を作ります。

③④⑤嚥下

  • ③口腔期
    準備期でよく噛まれた食べ物はそのまま飲み込まれるのではなく、飲み込むための準備として食べ物を一塊にする作業が必要となります。
    食べ物を飲み込む際には呼吸を止めておく必要がありますが、その時間はわずか0.5秒程度といわれています。 なので0.5秒で食べ物が喉方から食道に入るように、適切な大きさにまとめ上げる必要があります。これが口腔期です。 咽頭期とタイミングが合わないと、食べ物が間違えて気管に入ってしまったりします。
  • ④咽頭期
    咽頭期では、食塊を喉に送り込む動きをします。飲み込む直前に、舌を上顎に押し付けることにより、食塊を口の中から喉に押し出しています。唾を意識的に飲み込んでみてください。舌が上顎に押し付けられているかと思います。
    食塊が喉に落ちてくると、その食塊が気管に入り込まないように喉頭蓋という蓋のような部位が気管の入り口を塞ぎます。こうすることで、食塊が食道の方だけに進むようになります。
    脳血管疾患の後遺症などがあり咽頭のあたりに麻痺があって一連の動作に障害が発生した場合、たとえば、咽頭蓋が不完全にしか期間を塞ぐことが出来ずに、普通に飲み込んだつもりでも気管に入り、誤嚥が起こる可能性があります。
  • ⑤食道期
    食塊が食道へ入ると、蠕動運動により胃に進みます。同時に喉頭蓋が持ち上がるので呼吸が出来るようになります。

誤嚥は「口の中の食べ物が、咽頭期において、食道ではなく気管に入ってしまうこと」 誤嚥自体は、高齢者だけでなく、実は、健康な人・若い人にも起きています。
急いで食事をする、しゃべりながら、寝っ転がりながらなど姿勢が悪い状態のときなどにむせてしまったことはありませんか?これは誤って気管に入ってしまった食べ物を押し戻す反射(咳嗽)です。
通常の人は誤嚥が起きたとしても、自動的に異物を気管外に追い出すことができるのです。
咳嗽反射のハッキリおきない誤嚥もあります。疾患や薬の影響、加齢により反射が起こりにくくなっている場合など) むせていないからといって誤嚥は起きていないとは必ずしも言えません。

誤嚥性肺炎予防のポイント

口腔ケアをしっかりと行います。

バイオフィルムという言葉を聞いた事はありますか?
体の中にある多種多様な細菌。これら様々な細菌が集まると細菌叢になるのですが、この細菌叢自体はありふれたものであり均衡がとれているのならば問題は生じません。
しかしながら、とある環境下において細菌が集まってくると「バイオフィルム」を形成し始めます。 バイオフィルムは例えていうならば台所や排水溝などの水回りにおいてヌルヌルの状態になったようなものです。それが口腔内で形成されています。

バイオフィルムの表面は、人体における免疫や抗菌薬などの薬品に対して中身の細菌も守ります。
バイオフィルムが形成されてしまうと、免疫機能においても排除できません。特定の抗菌薬などの薬剤も効果を発揮しなくなります。 バイオフィルム自体は歯磨きを始めとして、歯科医院でケアを行うことで排除することは可能です。(一度排除しても再形成させるので定期的なケアが必要です)
バイオフィルム化した虫歯や歯周病菌は物理的に落とすことが最も効果的です。

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