訪問歯科診療を御存じですか?
訪問歯科診療は、通院が困難な方のための歯科往診サービスになります。診療所で患者さまを診ていた歯科医師・歯科衛生士が、通院困難な患者さまの自宅を訪問します。
では実際に訪問歯科診療とはどのようなものなのでしょうか?
1. 訪問歯科診療の対象は?
- ご自身で通院・外出が困難な方
- 歯科医院から半径16km以内のご自宅・施設
・病院 - 年齢制限なし
2. 治療の保険適用はある?
ない?
国民健康保険
一部負担金(医療費の三割)が必要です。
1カ月の医療費自己負担額には所得により上限あり。上限額は個人(または世帯主)の月内医療費総額が対象です。
※ 一般所得者の医療費負担総額上限12,000円(自己負担割合一割)
※ 一定以上所得者の医療費負担総額上限44,400円(自己負担割合三割)
上限を超えたものについては「償還払い制度」により、市町村から超過分の償還払いを受けることになります。
障害者保険証をお持ちの方
原則無料です。
一部立替払いとなる地域もありますが、その場合は後日返金されます。もしくは地よっては有償での診療になる場合もありますので、お住まいの自治体にご確認ください。 尚、「心身障碍者医療費助成申請書」を自治体に提出済みの方に限ります。
介護保険との関係
在宅での「口腔ケア4」に対して利用可能です。
利用回数の制限があり、4回/1カ月までと定められています。
※ 介護保険は、被保険者が保険料を納め、介護が必要と認定されたときから介護サービスを利用できる制度です。
第1号被保険者…65歳以上の人
第2号被保険者…40歳以上64歳未満の医療保険加入者
第1号被保険者は原因問わず要支援・要介護状態になった場合、第2号被保険者は末期がんや関節リウマチ等の加齢による16種類の特定疾患により介護が必要になった場合のみに限り介護サービスを受けられます。
ただし、介護サービスを利用するには「要介護認定」の申請が必要です。
介護サービス利用の流れ
- 要介護認定の申請
- 利用者本人の状況により、家族や成年後見人、地域包括センター、指定居宅介護従事者、介護保険施設などの申請代行も可能です。
- 認定調査・主治医意見書
- 市町村の調査員が自宅や施設、入院先などを訪問して、心身の状態を確認ための認定調査を行い
ます。
- 審査判定
- 調査結果及び主治医意見書の一部の項目はコンピューター入力し、全国一律の判定方法で要介護度判定が行われます(一次判定)。
次に、一次判定結果及び主治医意見書に基づき、介護認定審査会による要介護度の判定を行います(二次判定)。
- 認定
- 認定結果通知は申請から原則30日以内に届きます。認定は要支援1・2および要介護1~5までの7段階に分類されます。要介護度に応じて、利用できるサービスや介護保険で認められる1カ月の利用限度額などが異なります。
- ケアプランの作成
- 介護サービスを利用する場合は、介護サービス計画書(ケアプラン)の作成が必要です。要支援と要介護で相談先が異なります。
要支援1・2→地域包括支援センター
要介護1~5→ケアマネージャーのいる居宅介護支援事業者となります。
- 介護サービス利用開始
- 作成されたケアプランを基に、在宅や施設で介護保険のサービスや福祉サービスなどが利用可能
です。
3. 治療内容は?
- 歯科診療
- 口腔ケア
- リハビリテーション
この3つが基本となります。虫歯や歯周病の治療、入れ歯の作製・修理、口腔ケアに対応しています。また、誤嚥性肺炎予防や口腔機能のリハビリテーションなども行います。
4. 自宅で受けるメリットは?
現在、訪問歯科診療を利用している人の約9割は高齢者で、残り約1割は精神疾患のある人や身体的障害のある子どもや成人です。
いざ歯科医院に行こうとしたときに、タクシーなど交通機関を利用するのは大変かと思いますし家族の付き添いも必要になることも考えられます。訪問歯科診療を行えば、自宅で歯の治療や口腔ケアを受けることができ、通院の負担がなくなります。
また、嚥下に問題があったりリスクのある方に関しては、歯科医師が直接患者さまの食生活の場面を見ることで、より細かなケアを行うことができ、歯科衛生士と連携してより適切な口腔ケアを提案することが可能となります。
口腔ケアをしないと、誤嚥性肺炎のリスクが上がってしまいます。また、口腔内をはじめとして、細菌数が増加することによって口腔内から全身へと細菌がまわってしまうことにもなります。
歯が抜けた状態を放置したらどうなるでしょうか?入れ歯が合わないからといって装着をしない状態が続いた場合どうなるでしょうか?『口』としての機能を果たせなくなってしまいます。口腔機能の低下の始まりです。
日々のブラッシングによるセルフケアが出来ないと、口腔内の不衛生状態から、食欲・免疫力の低下、「食べる」という機能面にまで制限が出てきてしまいます。口腔内の衛生状態改善を行い、「食べられる・噛める」機能を維持、あるいは取り戻すことが重要となります。
日常生活を送るうえで、口臭が強くなった、歯ぐきから出血がある、入れ歯が黒ずんできた・合わない、歯がぐらぐらするなどの症状はもちろん、食が細くなった、むせやすくなった、食事に時間がかかるようになったなどありませんか?また、免疫力が低下していると、風邪をひきやすく治りにくい、よく熱を出すようになったなどの症状も現れます。
一見普通の事の様ですが、高齢者の方は免疫力が低下していて命に関わることもあります。ささいな事と見過ごさず、一度お近くの歯科医院にご相談されることをおすすめします。