虫歯や歯周病などが原因で残念ながら歯を抜かなくてはいけなくなった場合、そのままにしておくと困ったことが起きてしまいます。
奥歯が1本抜けた状態の場合
- 隣の歯が倒れてくる(傾斜)
- 噛み合う歯が伸びてくる(挺出)
奥歯が数本抜けた状態の場合
- 噛み合う歯が伸びる(挺出)
- 前歯が広がる(突き上げ)
歯を抜いたまま放置しておくと、抜けた状態のままではなく周囲の歯が動き、上記のようなことが起こる可能性が高くなります。
歯は1本1本に役割があり、失ったまま長期間放置してしまうと、全体のバランスが崩れ、全身の健康にも影響を与えることがあります。
その為、抜歯した部分のスペースとその機能を補う治療をすることが大であり、その方法がいくつかありますのでご紹介いたします。
主な補填方法について
- インプラント
- ブリッジ
- 入れ歯(義歯)
- 移植
以上の4つになります。
治療方法その1「インプラント」
インプラントとは?
歯に人工の歯根を埋め、セラミックでできた被せものを被せる治療方法です。外科的な手術が必要ですが、健康な歯を削ることなく、天然の歯と同じように噛めるようになります。

<メリット>
- 両隣の歯を削る必要がない
- 骨に埋入されたインプラントが実際の歯根のような役割を行うので、自分の歯に近い感覚で噛むことが出来る
- 骨に埋入されたインプラント体が咬合を支えるので、他の歯への負担を増やさない
- 天然歯に近い審美性の回復が期待出来る
<デメリット>
- 顎の骨が少ない場合は、インプラントを埋入する前に人工的に骨の造成が必要となる
- インプラント体を埋入後、インプラント体と骨が固定される期間が必要とある
- 治療のケースにより、長期間となる可能性あり
- 骨の成長途中にある若年者は行えない
- 外科的手術となる
- 保険適用外
治療方法その2「ブリッジ」
ブリッジとは?
失った歯の両隣の歯を削り、橋渡しをする方法です。違和感がなく噛むことが出来ますが、両隣の歯を大きく削り、支えとなる歯に負担がかかります。隣の歯の状態や失った歯の本数によっては適応とならない場合もあります。

<メリット>
- インプラントと比較して短期間で治療が終わる
- 保険適応のものがある
<デメリット>
- 隣の歯を削らなくてはならない。たとえ虫歯になっていない健康な歯でも、削る必要がある
- 噛む力を少ない数の歯で支えるため、支えとなる歯への負担が大きくなる
- 噛む力は天然歯と比較すると、60~80%ほどとなる
治療方法その3「入れ歯(義歯)」
入れ歯とは?
取り外し式の補綴物です。取り外し式なので、お手入れがしやすいですが違和感が大きく、噛む力は天然の歯の20~30%ほどしかないと言われています。

<メリット>
- 取り外し可能なため、お手入れしやすい
- 入れ歯の多くは保険適応となる
- 1本~全顎まで製作が可能
- インプラントに比べて治療期間が短い
<デメリット>
- 噛む力は天然歯と比較すると20~30%ほどとなる
- 歯肉を切るなど外科処置が必要ない
- 持病を持った患者様でも装着できる
- 部分入れ歯は入れ歯の固定のために金属のバネを使用するので、見た目が目立つことがある(保険適応の場合)
治療方法その4「移植」
移植とは?
親知らずや骨の中に埋まっている歯などを抜歯し、対象部位へ移植する方法です。適応条件があり、成功率は約60%。5~10年もつと言われています。

<メリット>
- 自身の歯を使用することが出来る
- インプラントと違い歯根膜があるので、噛み応えや歯触りを感じやすい
- インプラント治療よりも手術の負担が少ない
- 保険適応になるケースがある
<デメリット>
- 天然歯(自分自身の歯)のため、虫歯になるリスクがある
- 高齢者は不向き。40歳以上の場合は成功率が下がる場合がある
- 一定の条件を満たす必要がある
<条件>
- 歯のサイズが移植する場所に合っている
- 歯の形が曲がっていたりと複雑ではないこと
- 出来るだけ虫歯がなく、歯周病等で歯根膜が少なくなっていない
- 可能であれば40歳以下(40歳以上の方が行えないというわけではない)
患者さまのお口の中の状態により、適した治療は異なりますが、抜歯後はそのままにするのではなく、適した治療を受け、長くおいしく食事が出来るようにしましょう!
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