Column歯のコラム

2021.11.29

口臭について

春夏秋冬、朝晩、一年中マスクを使用する生活が続いています。 そんな中で皆さんは口臭が気になったことはありませんか? マスク自体の臭いの原因は、 ・雑菌による臭い(内側の湿度温度が高くなっているので雑菌が繁殖しやすい) ・唾液による臭い(着用時の会話や、くしゃみ、咳などによりついた唾液) により、臭っているおそれがあります。 では、自分自身の口腔内はどうでしょうか? 口臭の種類は? 口臭には大きく分けて以下のような種類があります。 1.生理的口臭 誰にでもあるにおいで、主に起床直後、空腹時、緊張時に特に口臭が強まります。 原因は、唾液の分泌の減少です。唾液の分泌が減少したことにより、細菌が増殖して口臭の原因物質(揮発性硫黄化合物=VSC)がたくさん作られてしまいます。 歯磨きで細菌数を減らしたり、食事や水分補給で唾液量が増加すれば口臭は弱まるので、治療の必要はありません。生活習慣の見直し・改善が必要となります。 また、女性の生理や妊娠時などのホルモンバランスの変化や、乳幼児期・学童期・思春期・成人期・老齢期、年代固有の臭気(加齢臭)なども該当します。 病的口臭と異なり、本人も気づかないことがほとんどです。 2.飲食物・嗜好品口臭 …ニンニク、ネギ、酒、たばこ等による比較的においの強い飲食物・嗜好品の摂取による口臭。時間の経過とともに改善されるので、特に治療の必要はありません。 3.病的口臭 鼻やのどの病気、呼吸器系・消化器系・糖尿病・肝臓疾患などが原因で起こる場合がありますが、病的口臭の90%以上は口腔内にあります。 虫歯、歯垢(歯の周りにつく細菌の塊)、歯石、舌苔(歯の表面につくコケ上の細菌の塊)、唾液の減少、義歯の清掃不良などです。病院、歯科医院にて口臭の原因を治療することが必要です。 4.心理的口臭 口臭は無いにもかかわらず、自分自身でにおいがあると思い込んでいる場合です。 口臭を予防するには? 自分に適した口臭対策はご存じですか?口臭対策といっても、口臭の原因は人それぞれで、原因に合わせた対策が必要となります。 1.正しい歯磨き 日頃の歯磨きはとても有効な手段です。特に時間をかけたいのは就寝前の歯磨きになります。 寝ている間は口腔内の唾液の分泌量が低下し、細菌が繁殖しやすいため、歯磨きをしないまま寝てしまうと、翌日、口臭を強くする原因となります。 2.舌苔除去 舌の上につく白い苔状の物の事を舌苔といいますが、この舌苔も口臭の原因となります。舌苔の付き方には個人差がありますが、舌の清掃による舌苔の除去が有効な予防法となります。 なお、舌の清掃には専用の舌ブラシを使用するのがおすすめです。目安は1日1回、多く行うと舌の粘膜を傷つけてしまう恐れがあります。 3.虫歯や歯周病を治療 病的口臭の代表的なものとして歯周病があげられます。歯周病の原因の多くが、揮発性硫黄化合物(VSC)をつくる嫌気性菌であるからです。歯周病の他に、大きな虫歯や親知らず、粘膜の潰瘍等が原因で口臭が発生することもあります。 歯周病は虫歯と違ってほとんど痛みもなく進行します。何も自覚がないのに家族等から口臭を指摘されるようになったら歯周病が原因の可能性がありますので、歯科医院を受診し、検査を行いましょう。 4.食生活の改善 先ほども出てきた舌苔ですが、口臭を引き起こす舌苔の原因になりがちなのが食生活。食生活は乱れていませんか?暴飲暴食や刺激物の摂り過ぎは消化不良を引き起こして、胃腸が荒れてしまいます。胃腸が荒れると舌苔が厚くなる場合があるのです。 バランスの取れた食事を毎日規則正しく摂ることが大切です。また、噛むことによって分泌される唾液が減ってしまうと、口臭が強くなる原因にもなります。噛み応えのある食材を取り入れ、よく噛み唾液の分泌を促しましょう。 5.鼻呼吸 口腔内の乾燥を防ぐため、鼻で呼吸することも重要です。口呼吸をしているとすぐに口が乾燥してしまいます。無意識のうちに口呼吸になっていることもあります。 口呼吸をしていて口の中が乾燥しやすい人は、鼻呼吸を意識してみましょう。また鼻の疾患が原因で鼻呼吸ができないことも多いため、耳鼻科などを受診してみることもおすすめします。 6.禁煙 煙草を吸っていると唾液の分泌量の減少および、歯肉の血流減少がみられます。唾液が減ることで、口臭が悪化してしまいます。 7.唾液腺マッサージ 唾液腺のマッサージをすることで唾液量が増え、唾液による食べかすや歯垢などの汚れを洗い流す効果があります。 唾液は口腔内を清潔に保ち、口臭を予防するための重要な役割を担っています。 主なマッサージ箇所 ・耳下腺 耳の前(上の奥歯あたり)付近にある唾液腺です。個々に数本指をあてて後ろから前へ向かって、円を描くように指全体でやさしくマッサージを行います。 ・顎下腺 顎の骨の内側のやわらかい部分にある唾液腺です。ここに親指をあて、耳の下から顎の下まで、5箇所ほどに分けて順に押します。各ポイントゆっくり5回くらいを目安に押します、 ・舌下線 舌下線は顎のとがった部分の内側のくぼみにある唾液線です。両手の親指をそろえ、顎の真下から舌を突き上げるように10回ほど上方向にゆっくり押し上げます。 日常生活の中で、「自分は口臭がきついのではないか?」「嫌われるかも?」など心配になりすぎてストレスが溜まってしまうと、ストレスにより口臭が強くなったり、自臭症になってしまうリスクもあります。 人は誰でもある程度の口臭はあります。体調によって口臭の強さが変わることもあります。まずは毎日のオーラルケアをしっかりと行う。並行して歯科医院での治療であったり、ご自身が続けられそうな口臭ケアを取り入れて、行っていくことが重要となります。

2021.11.25

レントゲン写真の必要性は?

歯科医院を受診した際に「レントゲンの撮影をします」とほとんどの方が言われ、レントゲン撮影(X線検査)を経験しているかと思います。中には「歯科検診で痛くないのに、なぜレントゲン撮影するのだろう?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。レントゲンを撮影することは、歯科治療の診査・診断を行う上でとても大切な判断材料となります。 実際に歯科におけるレントゲンについてご説明させていただきます。 まず、主に初診時などに行うレントゲン撮影に用いられるのはパノラマ撮影です。お口の中の状態によりデンタル撮影、CT撮影を行います。視診や触診だけではわからない歯や歯ぐきの内部を確認するために、レントゲン撮影を行う必要があります。直接見られない部分を確認できることで、適切な処置やアドバイスにもつながります。 パノラマレントゲン写真 上下の歯全体が撮影されます。主に顎骨内部の病気の有無や虫歯や歯周病を全体的に見たり、親知らずや歯の生え変わり、顎関節などもチェックします。 デンタルレントゲン写真 隣り合った3~4歯の撮影を行います。パノラマ撮影よりもより微細な情報が得られ、お口の中を見ただけでは虫歯なのか確認することが難しい隠れた虫歯の発見や、歯を支えている骨(歯槽骨)の状態、治療過程の確認を行うのに適しています。 CT 口腔周囲の状況を三次元の立体画像で確認できます。レントゲンでは見えなかった顎の骨の状態や神経の位置なども確認できます。インプラントや親知らずの抜歯など精密な検査が必要な際に撮影します。 レントゲン画像は、硬い歯や骨は白く、歯ぐきや血管、神経などの軟らかい組織、虫歯は黒く見えます。また自覚症状のない歯周病の症状も確認できます。歯周病は進行すると歯槽骨が破壊されて溶けて吸収されてしまうので、骨の減り具合などの様子や進行の具合も把握することが可能です。 Q・ レントゲンの安全性は? 一般的にレントゲンと言われているものは放射線の一つであるX線を使った写真撮影です。歯科で行っているレントゲン撮影は結論から言うと安心して受けて頂けます。 放射線による被爆を心配される方も実際にいらっしゃいます。レントゲン撮影による被爆に関してご質問をいただいたこともあります。 そもそも放射線によるガンなどの悪性腫瘍の過剰発症は、年間100ミリシーベルト(mSv)を超えなければみられないと言われています。 歯科パノラマ撮影(1回)…0.03ミリシーベルト 歯科デンタル撮影(1枚)…0.01ミリシーベルト 歯科用CT(1回)…0.1ミリシーベルト この数値に対して、 東京~ニューヨーク(往復)…0.19ミリシーベルト 1人当たりの自然放射線(日本:年間平均)…1.5ミリシーベルト 1人当たりの自然放射線(世界:年間平均)…2.4ミリシーベルト このことから、歯科医院で使用するレントゲンの放射線量はかなり微量な放射線だということが分かります。 レントゲン撮影の際の注意事項 レントゲン撮影を行うにあたり、以下の2点が重要です。 1. 装飾品(貴金属類)は外す 装飾品を付けたままだ撮影するとレントゲンに映りこんでしまい、正しい診査診断が出来なくなってしまいます。 具体的には ピアス、イヤリング ネックレス ヘアピン 飾りのついたゴム、ピン 入れ歯 などが該当します。 2. 妊娠中は避ける 放射線から身体を守るための防護用の鉛入りエプロンを撮影時には着用していただきます。防護用エプロンを着用することで放射線量はほぼ防ぐことができます。しかしながら、100%胎児には影響が出ないとは言えないので、妊婦さんはレントゲン撮影を特に妊娠初期は控えることが望ましいかと思います。 妊娠している間の歯の治療に関しては、レントゲン撮影はもちろん、麻酔の使用に関して等も含め、担当医師へご相談ください。 レントゲン写真を撮っておくと、再度治療を始める際に以前の自身のお口の中の状態と比較することが出来、目視だけでは気づかなかった虫歯や歯周病の進行、お口の中の小さな変化や新たな治療箇所を発見することもあります。結果としては、早期発見、早期治療につながるので、治療期間や回数、治療を行う際に感じるストレスも軽減するかと思います。 レントゲンに対する不安等あればお気軽にご質問ください。安心して歯科治療を行って頂けたら幸いです。

2021.11.18

口腔がんについて

口内炎と舌癌はどう違うのか?口内炎のように見えていても、実際は舌癌の可能性も。 そもそも癌とは? 誰もなる可能性がある病気 現在、日本人の2人に1人は一生のうちに何らかのがんにかかると言われているほど身近な病気です。 がんは、禁煙や食生活の見直し、運動不足の解消などにより「なりにくくする、予防する」ことが可能とされています。しかしながら、心がけていても「ならないようにする」ことは出来ないのです。 がん(悪性腫瘍)と良性腫瘍 がんのことを「悪性腫瘍」ということもあります。腫瘍=体の中にできた細胞のかたまりです。 正常な細胞は状況に応じて増減をしますが、何らかの原因でできた異常な細胞が、身体の中に細胞の塊をつくることがあります。これが腫瘍です。 悪性腫瘍は、このような腫瘍のうち、無秩序に増殖しながら周囲に染み出るように広がったり(浸潤)、身体のあちこちに飛び火のように移り新しい塊をつくります(転移)。 浸潤や転移をせず、周囲の組織を押しのけるようにして、ゆっくりと増える。これが良性腫瘍と呼ばれるものです。 舌癌は、鏡を使って患部を直接見ることができる癌です。まずはセルフチェックを行ってみましょう。 セルフチェック 舌、特に下の横の面に異常がある ほほの内側に異常がある 歯肉に異常がある 舌と下の歯ぐきの間(口腔底)に異常がある 白色もしくは赤色の病変がある しこりがある 歯周病とは関連していない歯の動揺や出血がある 口内炎や潰瘍が3週間以上治らない 歯を抜いたあとの治りが悪い 嚥下痛、嚥下困難、嗄声が3週間以上続いている 口腔がんの自覚症状で最も多いのが口腔の痛みです。その他に、しこり、腫れ、ただれ、出血、歯のぐらつき、口臭などです。 初期の段階では痛みが少なく、痛みが出てきたときには進行しているケースが多く、舌や歯ぐきの盛り上がり、しこり、治らない口内炎等の症状には注意が必要です。気になる項目があったら、一度受診をしてみましょう。 Q. 口腔がんとは? 癌とはだれもがなる可能性のある病気であり、悪性と良性があることがご理解いただけたかとおもいますが、ではさらに口にフォーカスしてみましょう。 まず、口は 咀嚼(噛む) 嚥下(飲み込む) 声をだす など、生きていくうえで重要な働きをする器官です。その重要な働きをする器官を口腔がんから守るためにはどのようにしたら良いのでしょうか? そして、口腔がんとは、口腔(口の中全体)にできるがんの総称です。 「口腔がん」は出来る場所によって 舌がん 歯肉がん 口腔底がん 頬粘膜がん 口蓋がん 口唇がん の6つに分類されます。部位別では舌がんが最も多く、次いで歯肉がんとなります。 発生頻度はがん全体の1~3%程度となり、他のがんとは違い、自身で患部を直接見ることが出来るので早期発見しやすいがんと言えます。ただ、発生頻度が低い分一般的にあまり知られていないことが多く、進行するまで気づかなかったり、放置してしまうケースもみられなくなる方が急増しているのも事実です。 口腔がんは5年生存率は60~80%と言われています。初期症状のうちにいかに早く発見し治療するかが重要であり、早期発見であれば治療も比較的簡単に治すことができ後遺症もほとんどなく、5年生存率は90%以上とも言われています。 しかしながら、進行した口腔がんでは、手術により舌や顎の骨の切除が必要となり顔が変形することもあります。そのため食事や会話が困難になってしまい、日常の生活に大きな支障を残すことになりかねません。だからこそ、早期発見、早期治療が重要になります。 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録) 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録) 口腔がんは、日本全国で1年間に約11,400人が診断され、男女別でみると1年間に男性…約6,800人、女性…約4,700人と男性に多い傾向があります。年齢別でもっとも多いのは、60歳代です。また、口腔がんの約6割は舌がんとなります。 Q. 主な原因は? ① 喫煙 最大のリスク要因が喫煙です。これは口腔がんに関わらず、他のがんと同様です。喫煙者の口腔がん発生率は、非喫煙者の約7倍高く、死亡率は4倍高いという報告もがあります。 ② 飲酒 喫煙に次いでリスク要因となるのが飲酒です。特に50歳以上、毎日喫煙を吸い、なおかつお酒も飲まれる場合が最も危険とされています。飲酒時の喫煙は煙草に含まれている発がん性物質がアルコールにより溶けて、口腔粘膜に作用します。そのためよりリスクが高くなると考えられています。 ③ その他 お口の清掃不良、虫歯の放置、栄養不良、合わない入れ歯やかぶせ物などによる慢性的な刺激などもリスク要因として考えられます。 日頃からの注意事項 日頃から気をつけなければならないこととして、 タバコ、お酒は控える バランスのよい食生活 口の中を清潔に保つ 合わない入れ歯やかぶせ物などは治療をする 虫歯の適切な治療、入れ歯の調整、虫歯や歯周病を予防する為に定期的なクリーニングを行い、お口の中の清潔を保つことで口腔がんのリスクを下げることが可能です。同時にがんにならないためにも、生活習慣(煙草を吸わない、お酒を飲みすぎない、ストレス溜めない、食生活改善、適度な運動など)を心がけましょう。

2021.11.16

ガムピーリングの治療法について

ご自身の歯ぐきの黒ずみが気になったことはありませんか?歯を白くするホワイトニングがあるように、歯ぐきの色を改善するガムピーリングという方法があります。 ガムピーリングは歯ぐきの黒ずみや変色を除去する治療方法で、特殊な薬剤を塗ることで、歯ぐきの上皮の黒ずみの元となるメラニン除去を行い、その方の本来の健康的なピンク色の歯ぐきにする方法です。 *歯ぐきが黒くなる原因 喫煙 着色(コーヒー、紅茶、赤ワインなどの飲食物) 紫外線 遺伝的な原因 尚、かぶせ物の金属で沈着した黒ずみは、薬剤による除去は出来ません。遺伝的な場合は程度にもよりますが、改善がみられることもあります。 *このような方におすすめ 喫煙により歯ぐきが黒ずんでしまった 着色しやすい飲食部の摂取で黒ずんでしまった もともと、歯ぐきが黒っぽい ホワイトニングや被せものの治療後、さらに口元の美しさを求めたい 結婚式や成人式、就職活動などの行事や面接が控えている 治療を受けると歯ぐきがピンク色になっていくのに1週間ほどかかります。大切なイベントを控えていらっしゃる場合は14日以上前に施術を行うことをおすすめします。 *治療が受けられない方 使用する薬剤(フェノール剤やアルコール)にアレルギーのある方 妊娠中の方 歯肉炎や歯周病などにより、歯ぐきに炎症のある方 *注意事項 施術後、刺激の強い食べ物はお控えください(辛いもの、塩辛いもの、酸っぱいものなど) 個人差もありますが、生活習慣(コーヒーやお茶など)によって、後戻りする可能性がございます 金属のかぶせ物による着色には対応しておりません 個人差や生活状況により、黒ずみが再発することがあります *実際の施術 では,実際の施術の流れをご案内します。 ①カウンセリング お口の中をチェックし、注意事項の説明などを行います。 ②洗浄 まず、お口をクリーニングします。 ちなみに、クリーニングはガムピーリングに関係なく、定期的に行いましょう。 ガムピーリングの治療をご希望される方の中で特に多いのが喫煙されている方です。喫煙は歯ぐきの血液循環が悪くなり、着色の原因にもなります。 クリーニングをすることで、お口の中はスッキリしますし、歯がツルツルとなり、歯ぐきが健康になります。(もちろん煙草を吸われない方もクリーニングはオススメです)クリーニングを行い、お口の中をキレイにしてから歯ぐきに薬剤を塗布していきます。 クリーニングをすることで、お口の中はスッキリしますし、歯がツルツルとなり、歯ぐきが健康になります。(もちろん煙草を吸われない方もクリーニングはオススメです)クリーニングを行い、お口の中をキレイにしてから歯ぐきに薬剤を塗布していきます。 ③お薬の塗布 フェノール液というお薬を塗布し、白濁した部位の中和を行います(お薬をアルコール剤にてふき取ります。)その後洗浄、乾燥を行います。 この工程を数回繰り返します。お薬の塗布の際には、個人差がありますがヒリヒリとした痛みを伴うこともございます。必要に応じて表面麻酔も可能です。 ④経過観察 薬剤を塗布した後は歯ぐきが白濁します。 その後、白濁した部分は自然にはがれてきます。この時に、無理にはがしたりしないようにしましょう。自然にはがれるのを待ちます。歯ぐきの表面が一層はがれて綺麗な歯ぐきになるという仕組みです。 薬剤塗布当日 薬剤塗布3日後 ⑤終了 白濁した歯ぐきの部分がはがれた後、数日は赤みが残りますが徐々に落ち着いてきます。 個人差はありますが施術後1~2週間が目安です。 薬剤塗布1週間後 よく、「人は見た目が9割」と聞きますが、顔の表情が55%を占めます。 その中で歯並びがキレイ、歯の色が白くてキレイも重要ではありますが、歯ぐきの色に対してはどのように思われますか? どんなに白く美しい歯でも、歯ぐきの色が黒いと不健康に見えてしまい、悪い印象を与えがちです。 健康的・イキイキとした印象であったり、明るい印象や清潔感を与えるのに、歯ぐきも歯並びや歯の色と同様に重要です。 症例詳細はこちら

2021.11.16

親知らず抜歯の治療の流れについて

こんにちは!下北沢歯科です。 今回は、スタッフの親知らずを抜歯した行程をお話します。 まず、右上、右下、左上の3本ありました。 親知らずの生え方は様々ですが、全部完全に歯肉に埋まっている"完全埋伏"の親知らずでした。 親知らずの生え方について 歯医者さん怖いし、痛いの苦手だし、早めに抜歯しなきゃと分かってはいても中々踏み出せずにいたというスタッフ。歯科で働いていても患者様と同じ気持ちなので、皆さんの"歯医者嫌だ!"という気持ちをよく分かっていますね。 ですが、勇気を振り絞って抜歯したいとのことでしたので、今回抜歯することとなりました。 ※親知らず抜歯中の写真があります。血が苦手な方はご注意下さい。 親知らずを抜歯する前に、全体的なレントゲン写真を撮影しました。 CTで見た時の様子 見ての通り、3本とも完全に埋まっています。 3本一気に抜くことも可能ですが、とりあえず右側だけでお願いしますとのことで右側の上下の親知らずの抜歯を行いました。 根っこの状態や親知らずの生え方を鮮明に見るために、立体的なレントゲン写真"CT撮影"を行いました。 CTだとこんな感じに写ります。右下の親知らずは神経にとても近く難しい抜歯です。 治療前 治療前の頬っぺた 今回使用する器具 治療中 準備が整ったら麻酔をしました。 麻酔が効いたらまず、右下から始めました。歯肉に埋まっているので、歯肉を切開しました。 麻酔をしっかり効かせた上で行っています。患者さまは自分から言いにくいと思いますので、こまめに痛くないかの確認をしながら進めていきました。 痛みのある時は左手を挙げて教えていただきます。約20分程で右下の親知らずは抜けました。 右下の親知らずが抜けたら歯肉を糸で縫って処置終了です。 続いて右上です。右上の親知らずも同じように麻酔が効いたら歯肉を切開します。 右上は歯を削らずに5分程度で抜けました。 右上の親知らず 右上も右下と同様、歯肉を糸で縫って処置終了です。 抜歯したところは、最後に消毒をしました。 治療後 抜歯した親知らず 抜歯した親知らず 歯も削らずに綺麗なまま抜くことができました!スタッフもあれだけ怖がっていたのに1時間足らずで抜歯が終わりホッとしていました。 抜歯直後の頬っぺたの状態です。抜歯した直後は腫れはあまりでません。麻酔が覚めてくると痛みが出てきます。 抜歯直後の頬っぺた 親知らずを抜くと2、3日後をピークに痛みや腫れの症状が出てきます。当院のスタッフは、当日は何ともなかったのすが、2日目から右側の頬っぺたが腫れてきていました。 痛みは、痛み止めを飲めば凌げる程度の痛みが出ていました。 抜歯翌日の頬っぺた 3日目は2日目に比べると腫れが引いてきた感じがします。 抜歯3日後の頬っぺた 抜歯後は少し腫れる事がありますが、個人差があります。ピークを過ぎると徐々に引いてきますのでご安心ください。 当院のスタッフは4日目くらいに徐々に腫れが引いてきました。それよりも、ずっと気になっていた親知らずが抜けてスッキリとした様子でした。 抜歯した当日は激しい運動や飲酒は控えていただきます。お風呂もシャワー程度で湯船へ浸かることはお控えいただきます。 7日~10日後に抜糸(糸取り)を行います。抜糸はチクチクするような感覚がありますが15分もしないうちに処置終了となります。 親知らずの抜歯は長時間お口を開けていただくのですが、自力でずっとお口を開けてるのは大変だと思いますので"バイトブロック"という開口維持をサポートするものを挟んで抜歯を行いました。 反対側の左上の抜歯もしてくださいとのことでしたので、また後日左上の親知らずの抜歯も行う予定です。 親知らずについて 親知らずの抜歯について 親知らず抜歯でよくあるご質問

2021.11.08

口内炎について

歯科医院に来院される理由として「歯が痛い」「歯ぐきが痛い」「定期健診」などがあります。それ以外に比較的多いのが「口内炎」です。 今回この記事を担当している私自身も口内炎がよくできます。小さかったものが合体して大きくなったりということも。中には口内炎はめったに出来ないという方もいらっしゃったりします。 では、実際口内炎が出来る原因や対策はどのようなものがあるのでしょうか? Q. 口内炎が出来る原因は? ストレスや栄養不足などによる免疫力低下 口の中を噛むなどの物理的刺激 ウイルス感染 入れ歯の不具合 他の病気の一症状 など、原因が不明な場合もあります。 Q. 口内炎の種類は? アフタ性口内炎 一般的に最も多くみられる口内炎。潰瘍性口内炎ともいいます。 原因はハッキリとわかっていませんが、ストレスや疲れによる免疫力低下、睡眠不足、栄養不足(ビタミンB1の欠乏)などが考えられています。 赤く縁どられた丸くて白い潰瘍が、頬や舌、唇の内側、歯ぐきなどに発生。複数個出来ることもあります。通常は10日~2週間ほどで治ります。 何度も再発する、範囲が広い、なかなか治らないときは他の病気の一症状であったり、薬が原因の場合などもあるので、病院への受診を行いましょう。 カタル性口内炎 入れ歯や矯正器具の接触により出来たり、頬の内側を噛んでしまったとき、熱湯や薬品の刺激が原因で起こる物理的刺激が原因の口内炎です。 アフタ性口内炎は赤く縁どられて見た目がわかりやすいですが、カタル性口内炎は境界が不明瞭で、口の粘膜が赤く腫れたり水泡が出来たりします。 ウイルス性口内炎 ウイルスが原因で出来る口内炎もあります。単純ヘルペスウイルスへの感染による「ヘルペス性口内炎(口唇ヘルペス)」や、梅毒・淋病・クラミジアなど、性感染症によるものもあります。また。カビの一種であるカンジダ菌は、元々は口の中に存在する常在菌の一つですが、免疫力が落ちると増殖し「カンジダ性口内炎」を発症することがあります。 その他の口内炎 「アレルギー性口内炎」:特定の食べ物や薬物、金属が刺激となってアレルギー反応を起こす口内炎 「ニコチン性口内炎」:喫煙習慣により口の中が長期間熱にさらされることにより起こる口内炎 ニコチン性口内炎は、口の中の粘膜や舌に白斑ができ、癌に変化するおそれもあります。 Q. 口内炎が悪化する仕組みは? まず、口内炎は口の中の様々な部分に起こります。 歯ぐきにできたもの…歯肉炎 舌に出来たもの…舌炎 唇の裏などに出来たもの…口唇炎 口角にできたもの…口角炎 幹部は潰瘍になったり、水疱になったりします。 悪化する仕組み 粘膜を正常に保つためのビタミン不足 疲労 ストレス ウイルス感染 外的刺激 これらによりタンパク質分解酵素の一種プラスミンが発生 増え続けたプラスミンによって、炎症や痛みのもとがでて、血管を拡張します。炎症を起こした血管からは、炎症や痛みのもととなる物質が漏れやすくなるので、痛みが発生する原因となります。 炎症が続くと、粘膜の表面がびらんのような状態になります。そしてさらにえぐられることによって口内炎が出来てしまいます。 Q. 口内炎が出来た場合の対応は? まず、お口の中を清潔に保つことが大前提です。栄養を摂っても、お薬を塗っても、お口の中が汚いと同じ事の繰り返しになってしまいます。 普段から口腔ケアをしっかり行い、清潔を保つようにしましょう。とはいっても、口内炎が出来てしまった場合はどのように対処すればよいのでしょうか? 対応 歯磨きをする際にゴシゴシ磨いていませんか?力を加えて磨くとぐきを傷めてしまい細菌が入る原因となります。 矯正中の方や入れ歯を使用されている場合など、器具が粘膜に当たることにより口内炎が出来る場合があります。必要に応じて治療を受ける必要があります。 ビタミンB群を多く摂取する。口内炎はビタミンBが不足するとできやすくなります。またビタミンB群(特にビタミンB12、B6)を積極的に摂ると治りやすいとも言われています。 炎症や殺菌、消毒成分が含まれた塗薬する。口内炎の種類によっては飲み薬が処方されます。 口内炎パッチ(貼るタイプの口内炎治療薬)を使用します。 しっかりと睡眠を取り、バランスの取れた食事をとり、免疫力を付ける。基本的なことですが効果があるといえます。 Q. 要注意の症状は? 口内炎のような症状が2週間以上治らない 舌にしびれやしこりを感じる 腫れものから出血することがある 腫れものと周囲の粘膜の境目が曖昧になっている 当てはまる症状があれば、病院にかかりましょう。口内炎ではない可能性があります。季節の変わり目は体調管理が難しく、体調を崩しやすいので特に注意が必要です。

2021.11.05

フッ化物について

こんにちは!下北沢歯科です。 フッ素という言葉を聞いたことはありますか? フッ素入り歯磨き粉や、フッ素入りガム。お子様のフッ素塗布など、ほとんどの方がフッ素という言葉は聞いたことがあると思います。 フッ素は反応性の高い元素で、自然界では基本的に単体では存在せず、ほかの元素と結合してフッ化物として存在しています。 実は私たちが日常摂取している飲食物(お茶や海藻、魚や野菜等)にも、フッ化物は多く含まれています。 *フッ素とフッ化物の違い さて、上記の内容の中に「フッ素」と「フッ化物」の2種類の言葉が出てきました。 何が違うのでしょうか? 以前は全部「フッ素」で説明する際に表記することが出来ました。 現在では国際純正・応用化学連盟の勧告により、「フッ素=元素記号」であることから、 水や食品中の無機のフッ素は「フッ化物(fluoride)ということになっています。 水に溶けたときにマイナスイオンになる無機の物質を「~化物」といいます。 (以下、フッ素元素の時は「フッ素」、それ以外は「フッ化物」と表記させていただきます。) 虫歯予防と言えばフッ化物!というイメージをお持ちの方は多いと思います。 ところが最初は虫歯予防ではなく、歯のフッ素症(白い斑点や縞模様がでる斑状歯)の原因として認識されました。 フッ化物が含まれた水を摂取していた子供たちの萌出歯に、褐色の斑点が見つかります。 斑点があったけれども、その子供たちの歯は、虫歯の発生が少なかったのです。 そのため、しばらくはフッ化物を摂取するとよいとされ、食品や水道水、錠剤などで摂取することが推奨されました。 現在はフッ化物配合の歯磨剤を使用し、常にフッ化物が口腔内にある状態が虫歯予防に重要とされています。体内に摂取する必要はないことが明らかになったからです。 むしろ、体内で永久歯が形成される幼児の時期にフッ化物を過剰摂取すると、歯のフッ素症を引き起こすので、歯の結晶がもろくなってしまいます。 また、フッ化物は塩と同様、過剰摂取すると急性中毒をおこしてしまいますので、注意が必要です。 ★フッ化物で虫歯にはならない? フッ化物は、虫歯の発生を防ぐのではなく、虫歯の進行を遅らせる効果があります。 フッ化物はどのような働きをするのでしょうか? 再石灰化の促進 脱灰されたハイドロキシアパタイトにフッ化物が作用すると、再石灰化が促進されます。 脱灰の抑制 酸による脱灰の際にフッ化物が低濃度で口腔内に存在していると、 ハイドロキシアパタイトの結晶にフッ化物が吸着し溶けにくい構造となり、脱灰を抑制します。 結晶性の改善 再石灰化の際、フッ化物は部分的に溶けたハイドロキシアパタイトに吸着し、 カルシウムイオンを引き寄せ、耐酸性のある結晶を構成します。 細菌の代謝阻害 フッ化物は、細菌が糖を代謝して酸をつくる過程で用いる酵素の反応を阻害したり、 細胞内から酸を排泄する動きを阻害します。 ★フッ化物製品に関して まず、フッ化物の使用方法は、濃度によって分けられます。 低濃度 地域社会で使用(飲料水、塩、牛乳、小麦粉などに添加)。 中濃度 個人による使用(歯磨剤、洗口剤、タブレット、飴、ガム等)。 高濃度 専門家による使用(溶液、ジェル、フォーム等)。 個人による使用の中では、まずはフッ化配合の歯磨剤使用がオススメです。 歯磨き粉のフッ化物濃度に異なりますが、6歳未満ではフッ化物500ppmが推奨されます。 歯のフッ素症や、エナメル質の形成不全の影響が懸念されるためです。 日本では現在1500ppmまでがフッ化物配合の歯磨き粉に認められています。 一度ご自身が使われている歯磨き粉にどのくらいフッ化物が入っているか見てみて下さい。 (パッケージや本体に記載されていることが多いです) 推奨されるフッ化物配合歯磨剤の量 2歳以下 500ppm(甘くなく、泡立ちないもの) 3㎜(ブラシにすりつける程度) 6歳未満 500ppm 5㎜(エンドウ豆大) 6~14歳 1000ppm 1㎝(仕上げ磨きは8歳まで) 15歳以上 1500ppm 2㎝ 虫歯リスクが高い場合は、フッ化物フォームのプラスケアが推奨されています。(要介護の方など) 歯磨き粉よりも一度に口に含む量が多くなり、使用後に水で口をゆすがないため、口腔内に残るフッ化物量が多くなるので、歯磨剤だけに比べて効果が高くなります。 ★歯磨き後、口はよくすすぐほうが良い? 歯磨きの後に口をゆすぐ際に、しっかりと口をゆすがれますか? 歯磨き後は口をあまりゆすぎすぎない方が、歯磨剤に含まれるフッ化物が洗い流されずお口の中にとどまるので、虫歯になりにくいです。 フッ化物は口腔内に残り続けることで虫歯の予防効果を発揮するので、ゆすぐ際には、軽く一度だけゆすぐ程度にしましょう。 ★使用する歯磨き粉の適量は? 幼少期の子供に関しては、フッ化物配合歯磨剤の使用量に注意が必要です。 生えたての歯は虫歯になりやすいので、フッ化物で虫歯リスクを減らいたいところですが、 体重あたりのフッ化物摂取量が多くなってしまうことから、歯のフッ素症リスクも考慮しなければなりません。 フッ化物は、虫歯の発生や進行をコントロールするのに正しく使えば大きな効果が見られます。 ほかには糖の摂取を控えたり、歯磨きをしっかり行うなど、日常生活の中での意識も大切です。

2021.11.03

オーラルフレイルに関して

オーラルフレイルという言葉を聞いたことはありますか? 何となく聞いたことがあるような、ないような。 人生100年時代と言われる昨今。 長生きする為に知っておきたいポイントがたくさん詰まっています。 Q.オーラルフレイルとは? 英語で、 「オーラル」…「口腔」 「フレイル」…「虚弱」 という意味です。 「オーラルフレイル」とは口腔機能の衰えが見えてくる状態であり、口腔機能の衰えが全身の老化に繋がるという考え方です。精神的、身体的、社会的な健康と大きな関りを持っています。 そもそも口腔機能にはどのような働きがあるのでしょうか? 食べる…噛む、味わうなど 飲み込む…食べ物や飲み物を食道に送り込む 息をする…呼吸をする。咳やくしゃみ、あくびをする 唾液分泌…舌や口の動きをスムーズにする、食べ物の消化を助ける、細菌増殖の抑制、口の粘膜保護、口を清潔に保つ コミュニケーション…会話をする、笑いや怒り等の表情をつくる 口腔機能には食べ物を食べるだけでなく、さまざまな働きがあります。オーラルフレイルが進むと、日々の生活に不都合が生じるだけでなく、身体の衰弱や認知機能の低下にもつながると言われています。 Q.オーラルフレイルの症状は? 以下の症状の中からいくつ当てはまりますか? 硬いものが食べにくくなった お茶、汁物などでむせることがある 義歯を使用している 口の乾きが気になる 外出の頻度が少なくなった たくあんくらいの硬さの食べ物が噛めない 歯磨き回数が1日1回、もしくは行わない 1年以上歯科医院に行っていない ※0~2…オーラルフレイルの危険性は低いです。 ※3~4…オーラルフレイルの危険性があります。 ※5以上…オーラルフレイルの危険性が高いです。 滑舌の低下や噛む力、舌の力が弱くなり、口の機能が衰えることによりきちんとした食事が出来なくなってしまいます。口から食べものが食べられなくなったら、栄養を摂取することが困難になり、全身に栄養が行き渡らなくなり、筋肉の衰えにもつながります。 オーラルフレイルと判定された人は、2年後には身体的な衰弱に陥りやすく、さらに4年後の要介護リスクや死亡リスクは2倍以上になるという研究結果も報告されています。要介護状態や寝たきりになる原因の多くは、脳梗塞などの脳血管疾患や心疾患、骨折等ですが、オーラルフレイルもまた要因の一つだと言われています。 Q.オーラルフレイルはどのようなサイクルで進行する? 以下の症状の中からいくつ当てはまりますか? プレフレイル期…口腔ケアへの関心が低下し、歯周病や虫歯になり歯を失う。 オーラルフレイル期…口腔機能が低下し、会話や食事に不具合が出る。食欲の低下。 サルコ・ロコモ期…咬合力、舌の筋力、食べる量の減少により、低栄養になる。 フレイル期…咀嚼が出来なくなり、嚥下障害となる。要介護状態になる。 寝たきりなどにならないためにも、プレフレイル期のうちに歯周病や虫歯の治療を行い、定期的に検診を行い、口腔内をケアすることが重要です。 Q.サルコペニアとは? オーラルフレイルと密接な関係にあるのがサルコペニアです。 サルコペニアとは、「サルコ」は「筋肉」、「ペニア」は「喪失」という意味になります。加齢や病気などで筋肉量が低下し、全身の筋力が低下した状態をいいます。 サルコペニアとフレイルの違いは、サルコペニアが筋肉量や筋力、身体機能低下を表すのに対して、フレイルは身体の機能低下だけでなく認知機能低下、日常生活での活動量低下、疲労度合などの幅広い要素が含まれています。 サルコペニアになると、筋肉量が減少し、基礎代謝やエネルギー消費量が低下し、活動量が減ることで食欲もなくなってしまいます。その結果として、栄養不足になり、身体の衰弱が進み、フレイルに移行してしまいます。健康な状態から要介護状態に移行する中間の時期にあたり、フレイルが進み要介護状態になると、その前段階に戻ることは難しくなるので、そうなる前に予防がとても重要になります。 Q.オーラルフレイル予防の食事は? オーラルフレイルの兆候として「滑舌の低下・食べこぼし・わずかなむせ・噛めない食品の増加」から始まります。 些細なことのように思えますが、進行するとフレイルになってしまいます。まずは歯周病や虫歯の治療をきちんと行い、物が噛める状態にすることが大切です。オーラルフレイルを予防する食事に関しては、 ・柔らかいものばかり食べない ・肉や魚などのタンパク質を意識して摂ようにする。 唇や頬、歯や舌に至るまで口の動きに筋肉は関わっています。口の中や周囲の筋肉量が低下すれば、咀嚼したり、飲み込んだりするのに支障が出てきてしまいます。筋肉をつくるタンパク質の摂取がポイントです。 タンパク質といっても、植物性(豆腐や納豆など)のものや、魚や肉などの動物性のものまで幅広くあります。 食べるのであれば、肉のタンパク質がオススメです。肉の良質なタンパク質は筋肉をつくりやすくアミノ酸スコアが高いのも特徴です。プラスして魚や卵、豆腐や野菜などの食品もバランスよく食べるようにするとビタミンやミネラルなどのタンパク質以外の栄養素も摂りやすくなります。 身体に必要なタンパク質は、体内で合成できない必須アミノ酸と合成可能な非必須アミノ酸からできており、その質の良しあしをアミノ酸スコアで評価しています。必須アミノ酸のなかにはロイシンというアミノ酸がありますが、ロイシンには筋肉を強化する作用があるといわれ、肉類や乳製品などに多く含まれます。 高齢の方の中には肉類を避ける人もいますが、むしろ肉類を食べた方が筋肉量を増やせるので、口腔機能向上の観点から必要不可欠な食品といえます。良質なタンパク質を摂って筋肉量を増やす。そうすることでサルコペニアになる危険性も低くなり、フレイル予防にもなるというわけです。 足腰を鍛えるために歩くなどの運動も大切ですが、健康は口からです。歯科医院でお口の中を定期的にメンテナンスすることが大切です。

2021.11.01

ドライマウスについて

お口が乾く「ドライマウス」 ドライマウスの症状がある人は800万人以上ともいわれ、実は身近な病気。 ドライマウスには様々な原因があります。加齢による筋肉の衰えであったり、体内の水分量、全身疾患(シェーグレン症候群、関節リウマチ、アルツハイマー病、パーキンソン病、糖尿病など)や口呼吸、放射線療法、ストレスなど多岐にわたります。中でも、最も多いのは薬剤の副作用によるものです。 高血圧の薬や向精神薬、また一般的な処方薬の約80%が原因になるといわれています。服用する薬の種類が多くなるほど、唾液減少の危険は増し、虫歯になるリスクが高くなります。ドライマウスと気づいていない方が実際は多いのが現状です。 まずはご自身がドライマウスかチェックしてみましょう。 当てはまる項目はありますか? 水をよく飲む 口の中がねばつく 舌にヒリヒリとした痛みがある しゃべりにくい 乾いた食品が食べづらい 口臭が気になる 入れ歯が擦れてしまう 味がわかりにくい 虫歯、口内炎ができやすい ドライマウス(口腔乾燥症)は、唾液の分泌が低下してお口の中が乾く病気です。唾液の減少は虫歯の原因となります。唾液は口腔内で歯を虫歯から守るべく、様々な役割を担っています。 例えば ・摂取した糖を洗い流す ・細菌の代謝によって酸性になった口腔内を中性に戻す ・脱灰した歯面の再石灰化を促進する などの役割があります。 唾液の分泌が減少すると、虫歯や酸蝕症が早く進行します。そのため、唾液が減少している方は虫歯になるリスクが高くなります。 唾液の量は変化する!? 唾液には、刺激が少なくても自然に流れ出る「安静時唾液」と味覚や咀嚼などの刺激で多量に分泌される刺激時唾液の2種類があり、2種類合わせると1日の合計分泌量は500~1,500㎖といわれています。 刺激がなくても自然に分泌される安静時唾液は、1分間あたりの分泌量は少ないのですが、1日の中では長時間分泌されているため、虫歯予防に重要な役割を果たしています。安静時唾液の分泌量は1日の中では夕方に最大、起床時に最小と一定のリズムを示すことが解っています。 ということは、夜から朝にかけて唾液分泌量は低下し、就寝時には著明に少なくなります。唾液の作用が弱まり最も虫歯になりやすい時間帯です。そのためカリエス(虫歯)コントロールとしては、夜、歯を磨いた後に飲食を控えるようにするのが望ましいでしょう。 口が乾いても… 普段飴は舐めますか?お口が乾燥していると飲みものを飲んだり、飴をなめたくなりますよね?しかし、ドライマウスの方が砂糖入りの飴を頻繁に舐めると虫歯になるリスクが高まります。 飴を頻繁に舐め続けることで、歯は細菌が産生する酸によって脱灰(歯のエナメル質からリンやカルシウムなどの栄養成分が溶け出すこと)される状態が続いてしまい歯を失ってゆく原因となるからです。 理由としては、口の中の糖が唾液で洗い流されず、唾液中の糖の濃度が高いままになってしまうのが一点。もう一点は、バイオフィルムという細菌の塊の中から産出された酸が中和されないままになる為です。 ですので、ドライマウスの方には糖は糖でも、 ・糖アルコール(キシリトール、マルチトール、ソルビトール等)を使用した飴もしくはタブレット ・ガム(酸や果汁パウダーの含まれていないもの。歯科医院にはフッ素入りなどもあります) が、おススメです。 糖アルコールはバイオフィルム中の㏗の低下がほとんど起こらず、甘みによる刺激で唾液分泌を促す効果があります。ガムは、咀嚼による刺激で、刺激時唾液が出やすくなります。唾液が出れば、口の中が潤いますし、歯の再石灰化も進むので一石二鳥です。 オススメしたい虫歯予防法 ドライマウスの患者さまは、虫歯のコントロールに有効な唾液の作用があまり期待できません。では、どのように、虫歯予防を行ったら良いのでしょうか? 食後すぐの歯磨き: 歯磨きにより、刺激時唾液の分泌が促されます。 フッ素入り歯磨き粉+「洗口剤」などのプラスケア: 歯磨き時や就寝前に行います。 ガム(シュガーレスガム)を噛む: 食後に糖や酸味料の入っていないガムを噛むことも、虫歯予防に効果的です。 ドライマウスは虫歯になるリスクの高い症状ですが、対処をしっかりと行うことでお口の健康は守れます。 歯科医院でのプロフェッショナルケア、ご自身でのセルフケアと合わせて一緒に歯を守りましょう。

2021.11.01

訪問歯科診療について

訪問歯科診療を御存じですか? 訪問歯科診療は、通院が困難な方のための歯科往診サービスになります。診療所で患者さまを診ていた歯科医師・歯科衛生士が、通院困難な患者さまの自宅を訪問します。 では実際に訪問歯科診療とはどのようなものなのでしょうか? 1. 訪問歯科診療の対象は? ご自身で通院・外出が困難な方 歯科医院から半径16km以内のご自宅・施設・病院 年齢制限なし 2. 治療の保険適用はある?ない? 国民健康保険 一部負担金(医療費の三割)が必要です。 1カ月の医療費自己負担額には所得により上限あり。上限額は個人(または世帯主)の月内医療費総額が対象です。 ※ 一般所得者の医療費負担総額上限12,000円(自己負担割合一割) ※ 一定以上所得者の医療費負担総額上限44,400円(自己負担割合三割) 上限を超えたものについては「償還払い制度」により、市町村から超過分の償還払いを受けることになります。 障害者保険証をお持ちの方 原則無料です。 一部立替払いとなる地域もありますが、その場合は後日返金されます。もしくは地よっては有償での診療になる場合もありますので、お住まいの自治体にご確認ください。 尚、「心身障碍者医療費助成申請書」を自治体に提出済みの方に限ります。 介護保険との関係 在宅での「口腔ケア4」に対して利用可能です。 利用回数の制限があり、4回/1カ月までと定められています。 ※ 介護保険は、被保険者が保険料を納め、介護が必要と認定されたときから介護サービスを利用できる制度です。 第1号被保険者…65歳以上の人 第2号被保険者…40歳以上64歳未満の医療保険加入者 第1号被保険者は原因問わず要支援・要介護状態になった場合、第2号被保険者は末期がんや関節リウマチ等の加齢による16種類の特定疾患により介護が必要になった場合のみに限り介護サービスを受けられます。 ただし、介護サービスを利用するには「要介護認定」の申請が必要です。 介護サービス利用の流れ 要介護認定の申請 利用者本人の状況により、家族や成年後見人、地域包括センター、指定居宅介護従事者、介護保険施設などの申請代行も可能です。 認定調査・主治医意見書 市町村の調査員が自宅や施設、入院先などを訪問して、心身の状態を確認ための認定調査を行います。 審査判定 調査結果及び主治医意見書の一部の項目はコンピューター入力し、全国一律の判定方法で要介護度判定が行われます(一次判定)。 次に、一次判定結果及び主治医意見書に基づき、介護認定審査会による要介護度の判定を行います(二次判定)。 認定 認定結果通知は申請から原則30日以内に届きます。認定は要支援1・2および要介護1~5までの7段階に分類されます。要介護度に応じて、利用できるサービスや介護保険で認められる1カ月の利用限度額などが異なります。 ケアプランの作成 介護サービスを利用する場合は、介護サービス計画書(ケアプラン)の作成が必要です。要支援と要介護で相談先が異なります。 要支援1・2→地域包括支援センター 要介護1~5→ケアマネージャーのいる居宅介護支援事業者となります。 介護サービス利用開始 作成されたケアプランを基に、在宅や施設で介護保険のサービスや福祉サービスなどが利用可能です。 3. 治療内容は? 歯科診療 口腔ケア リハビリテーション この3つが基本となります。虫歯や歯周病の治療、入れ歯の作製・修理、口腔ケアに対応しています。また、誤嚥性肺炎予防や口腔機能のリハビリテーションなども行います。 4. 自宅で受けるメリットは? 現在、訪問歯科診療を利用している人の約9割は高齢者で、残り約1割は精神疾患のある人や身体的障害のある子どもや成人です。 いざ歯科医院に行こうとしたときに、タクシーなど交通機関を利用するのは大変かと思いますし家族の付き添いも必要になることも考えられます。訪問歯科診療を行えば、自宅で歯の治療や口腔ケアを受けることができ、通院の負担がなくなります。 また、嚥下に問題があったりリスクのある方に関しては、歯科医師が直接患者さまの食生活の場面を見ることで、より細かなケアを行うことができ、歯科衛生士と連携してより適切な口腔ケアを提案することが可能となります。 口腔ケアをしないと、誤嚥性肺炎のリスクが上がってしまいます。また、口腔内をはじめとして、細菌数が増加することによって口腔内から全身へと細菌がまわってしまうことにもなります。歯が抜けた状態を放置したらどうなるでしょうか?入れ歯が合わないからといって装着をしない状態が続いた場合どうなるでしょうか?『口』としての機能を果たせなくなってしまいます。口腔機能の低下の始まりです。 日々のブラッシングによるセルフケアが出来ないと、口腔内の不衛生状態から、食欲・免疫力の低下、「食べる」という機能面にまで制限が出てきてしまいます。口腔内の衛生状態改善を行い、「食べられる・噛める」機能を維持、あるいは取り戻すことが重要となります。 日常生活を送るうえで、口臭が強くなった、歯ぐきから出血がある、入れ歯が黒ずんできた・合わない、歯がぐらぐらするなどの症状はもちろん、食が細くなった、むせやすくなった、食事に時間がかかるようになったなどありませんか?また、免疫力が低下していると、風邪をひきやすく治りにくい、よく熱を出すようになったなどの症状も現れます。 一見普通の事の様ですが、高齢者の方は免疫力が低下していて命に関わることもあります。ささいな事と見過ごさず、一度お近くの歯科医院にご相談されることをおすすめします。

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