Column矯正治療っていいのかな?

みなさんは自分の歯並びは気になりませんか?
近年、コロナによるマスク需要や歯並びに対する関心の高まりから、矯正治療の需要は高まりつつあります。
みなさんの歯並びに対する関心が高まってきているのは、歯科医療者側からするととても嬉しいことです。なぜなら、矯正治療にはメリットが多数あるからです。

今回は、矯正治療に着目して、どんな症状に対して有効なのか、どんなメリットがあるのか、また、デメリットは?といった疑問に答え、「結局、矯正治療ってどうなの」といった問いに対するサポートを提供できればと思います。

矯正治療って何?

歯科医師の矯正治療の教科書には以下のように記載されています。
「矯正治療学とは、歯・顎顔面頭蓋における成長発育やその後の増齢に伴った正常な形態と機能をはじめ、そこに生じた顎の異常な関係や不正咬合の病態を把握した上で、均衡と調和を欠いたそれら諸構造の状態を修復し、もしくは予防することによって、顎口腔機能の向上と顔貌の改善を図り、ひいては患者さんの生活の質向上関与する研究・技術を追求する学問」
このように定義されています。とてもわかりづらいですね。
簡単にいうと、①歯並びや顎の成長の不調を的確に把握し、②それらを治療または予防することで、③顔貌の改善だけでなく、口腔機能の改善や生活の質向上を目指すということが書かれているわけです。

みなさんの矯正治療のイメージは「歯並びを綺麗にする」というイメージをお持ちの方が多いと思います。
もちろんそれも間違っているわけではありませんが、本来の目的の半分程度しか解決できていません。矯正治療も意外と奥が深いということをご理解いただけたでしょうか。

矯正歯科

不正咬合ってどんな症状?

矯正治療の対象となる不正咬合にはどのような症状があるのでしょう。いくつか具体的に見ていきましょう。

①歯の位置異常

1)転位

歯が歯列弓の正しい位置から逸脱することを指します。歯列よりも内側に逸脱すると舌側転位、外側に逸脱すると頬側転位といいます。このほかにも2種類あります。

2)傾斜

歯の軸が頬側や舌側に傾いていることです。傾く方向には転位と同じように頬側、舌側などの種類があります。

3)移転

歯の萌出位置が隣の歯やもっと離れた別の歯と入れ替わっていることをいいます。

4)捻転

歯が回転して生えている状態です。

②数歯にわたる位置異常

1)叢生

いわゆる歯並びがガタガタな状態です。複数の歯にわたって、傾斜や転位が生じている状態を指します。

2)正中離開

一般的に上顎の前歯の左右に隙間がある状態です。一般的には「すきっ歯」といわれる状態です。

③骨格性の異常

顎の骨の成長状態によって生じる異常です。例えば、アントニオ猪木さんのような受け口や明石家さんまさんのような出っ歯などがイメージしやすいです。
これらは歯の位置異常の問題もありますが、顎の骨の成長が足りなかったり、成長しすぎたりすることで生じる顔貌や噛み合わせの不調を指します。

④咬合関係の異常

1)開咬

カチッと噛んだ時に、数本の歯にわたって上下の歯が接触していない状態です。特に前歯部で見られます。

2)過蓋咬合

カチッと噛んだ時に、前歯部が正常な状態よりも深く咬合している状態を指します。噛んだ特に上の前歯で下の前歯が隠れてしまうような状態です。

不正咬合についていくつか解説しました。これでもほんの一部しかありません。みなさんの歯並びが人それぞれ異なるように、不正咬合もたくさんあります。

不正咬合が生じる原因は様々です。例えば、指しゃぶりやベロ遊びのような悪い習慣や、乳歯の早期の喪失、歯の萌出を妨げる膿の袋などの障害物の存在などあります。
そのほかにも、先天性疾患の1つの症状として口腔内に症状が現れるなどの場合もあります。多種多様な原因が複雑に絡みあって、不正咬合が生じます。
それぞれの原因をしっかりと診断・特定したのちに治療を開始することが重要といえるでしょう。

どのような治療があるの?

それではどのような治療法があるのでしょうか。
矯正治療はワイヤーやマウスピースなどの装置を用いて治療することが一般です。材料の力を使って歯並びを整えていく治療装置がメインではありますが、そのほかにも口腔内の筋肉の力を借りて治療する矯正装置もあります。

1)器械的矯正装置

みなさんのイメージするようなワイヤーやマウスピースを用いた材料の力を借りて歯を動かす装置です。具体的にはワイヤー矯正とアライナー矯正があります。

ワイヤー矯正は最も一般的な矯正治療です。歯一本ごとにワイヤーをつけ、ワイヤーを理想の歯並びになるように曲げて装着します。少しずつ理想の歯並びに近づけていく治療です。
基本的にほとんどの症例に対して適応がありますが、何より、見た目が悪くなってしまうという欠点があります。また、装置を調節するときに、自分で取り外すことができません。

アライナー矯正に代表的なものは、インビザライン®️に代表されるマウスピース矯正です。いくつものマウスピースを約1週間間隔ではめていくことで、マウスピースの形になるように歯を動かしていきます。
近年、注目を集めている矯正治療です。取り外しができ、金属ワイヤーを使わないので見た目が気にならないという特徴を持っています。

どちらがいいのかというのはどちらも一長一短です。
それぞれのメリット・デメリットについて今回は述べませんが、気になる方は一度相談することをお勧めします。個々の歯並びに応じてよりベストな治療を提供します。

2)機能的矯正装置

こちらの装置はあまり馴染みがない装置だと思います。多くの場合、小児矯正で用いられます。この装置は、口腔内の悪習癖などによって歯に異常な力が加わり生じる不正咬合に対して、それらを除去することで、口の中の様々な筋肉と調和がとれた歯並びを目指す装置です。
ほとんどの場合取り外しができるという特徴があります。ワイヤーなどの力で歯を無理やり動かすことはしないので歯に比較的優しい矯正治療といえます。

このように矯正治療は大きく分けて小児期に行う場合と、成人以降に行う矯正治療によって用いる矯正装置が異なります。
しかし、歯並びを整え、患者さんの口腔内機能を高めることを最大の目的としていることは変わりません。

何歳から始めればいいの?

矯正治療は何歳から始めればいいのでしょう。そんな疑問を持っている人も少なくないと思います。
「中学生くらいから始めるのが一般的じゃない?」と思われている方もいらっしゃると思いますが、そんなことはありません。
不正咬合や歯並びは小さい時から生じますし、小さい時の口呼吸やベロ遊びなどの悪習癖によって将来の不正咬合の原因となるからです。

つまり、結論としては、矯正治療は「歯が生えていれば年齢は関係ない」というのが最適解になります。
乳歯が生えそろった2〜3歳ぐらいから、予防矯正として悪習癖を除去することも大切ですし、高齢になってから生じる様々な不調に対して、矯正治療が有効であることもあります。
具体的には、抜けてしまった部分をそのまま放置してしまって歯が倒れてしまった場合、矯正治療により元に立て直すことで治療オプションが増えたり、清掃性が向上したりする効果が得られるからです。

このように矯正治療はどの年齢の人に対しても対象となり得ます。遅いことも早いこともありません。矯正治療に興味がある方は是非ともご相談ください。

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矯正治療のメリット・デメリット

矯正治療を行うにあたって、当然ですが、メリットとデメリットが存在します。
まずは、矯正治療のメリットについて簡単にまとめてみましょう。

①きれいな歯並びを手に入れることができる

皆さんが最もイメージしやすいですね。きれいな歯並びを手に入れることで審美性の向上が図れます。

②正しい歯列によって口腔内の機能咬合が図れる

かみ合わせがしっかりと緊密になるため、噛む能力の向上が図れたり、正しい歯並びになるため、発音がしやすくなったりします。

③清掃性が向上する

ガタガタの歯並びと違い、歯に適切な接触があるため、ホームケアがしやすい状態となる。また、歯間ブラシや糸ようじが通しやすくなります。

④歯に負担がかかることを防げる

緊密なかみ合わせが得られることで、特定の歯にだけ負担が強くかかる状態を取ることができます。

⑤治療の幅が広がる

矯正治療を取り入れることで、特に欠損部分にインプラントの埋入が可能になったり、適切な形態のブリッジ作成することができるようになったりと治療のオプションが広がる可能性が期待できます。

 

次に矯正治療のデメリットについて考えてみましょう。

①ほとんどが自費診療なため、高額である

ほとんどの場合、矯正治療は自費診療になります。したがって、すべての医療費が患者さま負担となり、高額です。

②治療期間に長い年月を要する

歯を長期間かけて動かすため、年単位の長期経過が必要です。また、その間も装置の調整や口腔内の状態の確認など、たびたび歯科医院を受診する必要があります。
歯の移動が完了した後も、後戻りを防止するために1〜2年間ほどの保定が必要になります。つまり、完全に治療が終了するためには3〜4年ほどの長期経過が必要です。

③抜歯が必要になることがある

歯を綺麗に並べようとしたときに、歯の大きさと顎の大きさに不調和が生じ、スぺース不足が生じる場合があります。このような場合、健康な歯を抜歯して、歯の本数を減らすことで、スペースを作る必要があります。

④装置を付けている間は食事がしにくい

装置をつけている間は歯が日に日に動いていきます。このため、一時的に噛み合わせが合わずに、食べ物が食べにくくなることがあります。
また、硬いものを食べると装置が外れてしまうことがあり、装置が外れると歯科医院を受診しなければなりません。
装置を装着後すぐは痛みが出ることもあり、うまく食事ができない可能性もあります。

④口内炎ができやすくなる

金属のワイヤーの端の部分やマウスピースの端の部分が尖っていたり、粘膜に当たっている状態が続いたりすると口内炎が頻発します。

⑥装置の周りの清掃性が悪くなりやすい

矯正装置の周りは当然ですが汚れがつきやすく、なおかつ複雑な構造をしているため、清掃が難しいです。
このため虫歯のリスクが高まったり歯周病が進行しやすくなったりと、日々のホームケアだけでなく定期的な歯科受診により専門的な口腔清掃を行うことが重要です。

このように矯正治療にもデメリットが存在します。しかし、ほとんどのデメリットは対応可能で、予防することができます。矯正治療にもメリット・デメリットあることを理解して治療を相談、選択できるように全力でサポートします。

矯正治療と予防歯科の関係

矯正治療がどのような治療かについて理解を深めることができたでしょうか?
最後に最も重要な予防歯科との密接な関わりについてお話します。
一見すると予防歯科と矯正治療には関わりが低いように感じるかもしれませんが、そうではありません。むしろ密接に関わっていると言っても過言ではありません。

まず、矯正治療中は装置を装着するため、口の中が不衛生になりやすいというデメリットがありました。このため、虫歯や歯周疾患が発症・進行しやすくなります。
これに対して、矯正治療を行う前からブラッシング指導を受け、徹底することで、矯正装置装着後のブラッシングも適切になります。
また、定期的に歯科医院での専門的な口腔清掃を行うことで、自分では磨けない矯正装置の周囲の隠れた部分の清掃ができます。これにより虫歯や歯周疾患が発症・進行することを予防することができます。
折角、綺麗な歯並びを手に入れたのに虫歯だらけであったり、歯がグラグラで使い物にならなかったりしていては本末転倒です。
そうならないために、矯正治療前、治療中、治療後も予防歯科は極めて重要になります。

また、矯正治療で綺麗な歯並びを手に入れることで、審美性を手に入れることができます。
それだけでなく、ホームケアしやすい歯並びを手に入れることもできます。歯ブラシが届きやすくなり、歯間ブラシやフロスが通しやすくなるため、汚れがつきにくくなることで歯周疾患や虫歯の発症を自分で予防することができます。

 このように矯正治療と予防歯科は深く関りがあるため、矯正治療に合わせて予防歯科にも取り組んでいきましょう。
歯のクリーニング
予防歯科

まとめ

矯正治療に興味がある方は、お気軽にご相談ください。
また、今後矯正治療を行いたいと思っている方も今から予防歯科を取り組むことで、矯正治療中や治療後のトラブルのリスク軽減に繋がります。

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