歯科と栄養が出会ったら?
普段何気なく食べている食品 美肌やダイエットにはこの食品が効果的!免疫力アップにはこの食品が効果的だと聞いた!骨を丈夫にするにはカルシウムを摂取するのが良いなど、健康効果を意識して様々な食品や栄養素を選んでいるがあるかと思いますが、歯に対してどうでしょうか? 歯に対して「この食品は効果的だから食べよう!」「この飲み物は効果的だから飲もう!」といったことは少ないかと思われます。 今回は歯に対して効果的な食品・栄養素のお話です。 虫歯の予防効果を期待するなら 虫歯予防の基本の「き」は歯磨きですが、それ以外にも予防効果のある栄養素の摂取も有効です。 今回は「カルシウム」についてです。そもそもカルシウムとは、体重の1~2%(体重50㎏の人で約1㎏)含まれていて、生体内に最も多く存在するミネラルです。その中でも99%はリン酸と結合したリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)として、歯や骨などに存在し、残りの1%は血液や筋肉、神経組織にイオンや種々の塩として存在しています。 歯に関していうと、歯の表面にあたるエナメル質のミネラル(無機質)含有率は95%になり、主成分がカルシウムとハイドロキシアパタイト(石灰化成分)となります。また、エナメル質の下にある象牙質も70%がカルシウムとハイドロキシアパタイトで形成されています。 歯のエナメル質は酸によって溶け出していくのですが、その歯の溶け出したエナメル質部分を修復し、歯に戻してくれる働きを“再石灰化”といいます。この再石灰化を促すためにも、カルシウムの摂取は欠かせません。逆にカルシウム不足によって再石灰化が防げられると、再石灰化と脱灰のバランスが崩れ、虫歯になるリスクが高くなってしまいます。 カルシウムを多く含む食品 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど) 骨ごと食べられる小魚 大豆製品(豆腐、納豆など) 野菜類 海藻 この中でも、効率的にカルシウムを摂取するのには牛乳や乳製品が最適です。他の食品に比べてカルシウムの吸収率が高いうえ、1回の摂取量も多く摂ることができて、効率よくカルシウムがとれます。 牛乳・乳製品を中心に、小魚、海藻、豆類、野菜等の食品からバランスよく摂りましょう。ちなみに、カルシウムの利用効率を高めるためには、ビタミンDが必要です。ビタミンDはカルシウムの吸収をサポートし、強い骨を維持するためにも欠かせません。また、それだけにとどまらず、筋肉を動かしたり、全身に指令を送る神経伝達の促進、免疫機能向上など、生きるために欠かせない役目も多く担っています。 ビタミンDを多く含む食材は魚(イワシ、サンマ、サケなど)きのこ(きくらげ、しいたけなど)、牛レバーなどがあります。また、日光を浴びることでビタミンDは体内で生成されるため、散歩や外で遊ぶなどして日光を浴びることも大切です。 摂取したカルシウムを無駄にしないためには? カルシウムを意識して摂取を行っても、無駄にしてしまう場合があります。 それはリンの過剰摂取です。リンとカルシウムはくっついてしまうと、小腸で吸収されにくくなってしまいます。リンは魚類や乳製品、大豆、肉類などの一般的な食品に含まれている成分ですが、スナック菓子や冷凍食品、加工食品などに含まれている過剰なリンは、体内のカルシウムを排泄してしまいます。また、精製された糖も摂りすぎてしまうと、食事で摂取したカルシウムの80%近くを体外に排出してしまいます。 リンは生体には必要な栄養素ですが、過剰摂取には気をつけましょう。 カルシウムの吸収を阻害する物質 シュウ酸(ほうれん草のあく) 過剰の食物繊維(サプリメントの摂り過ぎに注意) 過剰のリン(加工食品、清涼飲料水など) 残念ながら、出来てしまった虫歯が自然に治ることはありませんが、虫歯を予防する・歯を強くするということは、日常生活の中でオーラルケアや食生活を意識することで改善期待できます。楽しく美味しく食事をして、健康で強い歯を目指しましょう。 予防歯科